あんなこんなそんなおんな・・・・・昔昔のその昔 第28

■縄文人と介護■

佐古和枝(在日山陰人)

珍しく風邪をひき、39度の熱をだしてダウン、原稿遅くなりました。5年に1度くらい、まとめて風邪をひくみたいです。寝込んだベットの中で思ったのは、柔らかくて暖かいお布団や、薬のありがたさ。常時、蛇口をひねれば水がでて、スイッチ押せば灯りがつき、電話1本でお弁当を届けてくれる。縄文人や弥生人でなくてよかったと、ふらふらの病人はこの文明の恩恵に涙するのでありました。
縄文人や弥生人も風邪はひいたはず。暖かいお布団もなくアイスノンもなく、しんどかったろうなぁ。でも、いろんな薬用の植物は利用していたと思います。民俗学や植物の本で植物の利用方法を調べてみると、私達の祖先達は驚くほどさまざまに木や草の効能を知り、活用してきたことがわかります。
遺跡から出土した古代人の人骨に、病気や怪我についての情報が含まれることがあります。調べてみると、栄養失調、感染症、貧血や骨の炎症、そして骨折。崖から落ちたみたいに全身骨折の人がいたり、骨折後副え木かなにかで治癒させている例もあり、骨からその人の人生が伝わってくるようです。
また、稀な例としてガンや骨肉腫。ガンが稀なのは、発病するまでに死んでしまうことが多いだけのことらしい。結核は、弥生時代になってから出現し、古墳時代初頭に大流行したようです。もちろんこの他にも、寄生虫疾患や伝染病など、骨に痕跡を残さないような病気がいろいろあったことでしょう。
さて、北海道南西部の虻田町にある入江貝塚で出土した縄文後期の9号人骨は、性別不明の思春期後半(20歳未満)なのですが、四肢の骨は異常に細く、幼児程度にしか発達していません。この人は、急性灰白髄炎の後遺症(小児麻痺)で、幼少時から寝たきり状態だったとみられます。つまり、寝たきりの9号さんを、縄文人達は20年近く、ちゃんと介護していたわけですね。誰か、私も介護してくれ〜!