緊急抗議 ◆
 

女を法務大臣にするな!!

伊豆半島人・中山千夏

 

昨日、第2次小泉内閣の人事が発表になり、法務大臣にまたもや女性が起用されたと知りました。もう、やめてくれ、と言いたい。
法務大臣は、総理を除いて唯一、殺人を命令できるポストです。死刑囚の生殺与奪の権力を一手に握っています。過去、そのために就任を拒否した政治家がいた、と聞いていますし、佐藤恵さんは就任はしたものの死刑に異論を唱えて、任期中、決して執行命令を出しませんでした。
このような役職にしばしば女性を就任させることには、二つの問題があります。
一つは、法務大臣というものが利権を伴わない不人気な席であるということ。これは、女性の登用がご都合主義のポーズに過ぎないことの明らかな表れです。
もう一つは、さらに大きな問題。それは死刑執行を女性に命令させることです。これは、死刑という男性文化を、女性に押しつけるものにほかならない。暴力的解決という男性性を女性性でもある、とみせかける詐欺にほかならない。そうして、「女性性による非暴力社会への再生」という人々の希望をくじくものにほかならない。
現に、前森山真弓法相が任期中三度も死刑執行を命令したことで、女性への失望は高まりました。「女性性=非暴力は誤りではないか」という疑いが広まり、女性たちが多く支えている死刑廃止運動に陰りをもたらしました。
もちろん事実は違う。「女性性=非暴力」は社会的・歴史的な事実です。ただし個人的には、性にかかわりなく人間は暴力的になり得ます。問題は、にもかかわらず世には「女性=非暴力」という誤解があり、その誤解を利用して、実は暴力的な仕事を女性にさせて実態をごまかそうとする動きです。女性法相はその顕著な例でしょう。
この際、はっきりさせておきたい。女性法務大臣が死刑執行命令を出すのは、女性性が暴力的になったからではありません。森山真弓さんなりなんなりが「職務的名誉のためには殺人をも辞さない」、という代表的な男性性に陥るからなのです。決して女性性=非暴力という真実が崩壊したわけではない。女性性を強調することは、非暴力社会の構築に向けて、変わらず、いやより一層有効である。
そのことを確認すると同時に、法務大臣という殺人職への女性の起用に、強く反対の意を表明します。

   2004年9月28日