第310回 神様に会いに行こう!

佐古和枝(在日山陰人)

あれ〜?「神は細部に宿る」、覚えていませんか?(;’∀’) たぶん2004年、出雲を走る車の中で、千夏さんが『世界でいちばん美しい物語〜宇宙・生命・人類』という本が面白いっていう話のなかで、出てきた言葉です。すぐに私も買って読みました。いま手元になくて確認できないのですが、この時の千夏さんの話は、生命体の仕組みについてだったから、私は長らくこの言葉は生物学者の言葉だと思っていました。
今回、ネットで検索してみたら、この言葉の発案者は、建築家やら美術史家やら諸説あって、よくわからないようです。どんな分野においても、確かにそうだと思わせる言葉だから、みんなが使いまくって、元祖がわからなくなっちゃったみたいですね。

その後、千夏さんはこんな文章を書いてくれました。

「あのね、イヴ・コンパスというフランスの古生物学者が、おおよそこんなことを言ってる。

宇宙が誕生してから今まで、気の遠くなるような長い進化の歴史があった。その結果、誕生したわれわれ人類は、ものや文化を発明して、ほかの生き物にはない大きな自由を手に入れている。そして、わたしたちは、いろいろな学問、研究、実験、発掘を通じて、その長い歴史の真実を追い求めているが、それは、もっともっと自由になるためなのだ。

いい意見だと思いません?そこで知ったことが、現代や未来に生きる。これからの、もっといい生き方、いい世の中を作ってゆくための助けになる。それでこそ、いい考古学、歴史学。また、それでこそ、考古学や歴史学はおもしろく楽しいんだよね。

中山千夏」

コンパス博士の文章も千夏さんの文章も、みごとだなぁと思ったから、大事に保管して、折々に読み返しておりました。まさか、こんな形で世間に出す日がくるとは(;^ω^)

あの日、その車のなかで、千夏さんはもう一つ名言を発せられました。
「心がもっと自由になるために、勉強するのよ」
おぉ、なんとカッコいい!これは、後で送ってくれたコンパス博士の言葉を千夏さん流にアレンジされたのかもしれませんが、私は「心が」という言葉の入る千夏流の方が断然いいと思います。で、そのままパクらせて頂いて、今でもよく学生に言うてます。だから、千夏さんは忘れてても、サコにとっては忘れられないドライブでした。

そうだ。だから、やっぱり地道にコツコツ、細部まで分け入るように長い歴史の真実を追い求めてこそ、得られる喜びも感動も大きいのだ。楽して得られるものは、それだけのものでしかない。よし、もうゲームで遊びながら考古学ファンをつくろうなんて姑息なことを考えるのは、止めよう!

と思っていたら、千夏さんがオオウケにウケたという男子2人組。YouTubeでいくつか見ました。なるほど。これがオモロイなら、こっちはどうですか?「縄文土器先生」これを見て、いろんな人達が縄文土器のお面つけたりして踊っているんです。まったくのナンセンスですが、なんか好きです。少し古いけど、「古墳ギャルのコフィー」は、けっこう人気でしたね。山陰特有の四隅突出型墳丘墓も登場して、なかなかオモロかった。どれも、何の勉強にもならない。だから、面白いのかな。考古学ゲームも考古学落語も、エンターテインメントに徹するべきなんでしょうね。遊びながら、笑いながら勉強しようなんて、甘いわな。はい、歴史はまじめにコツコツきちんとベンキョーしましょうね〜


『世界でいちばん美しい物語』(筑摩書房)