第255回 ヨソ者自慢

中山千夏(在日伊豆半島人)

>まちづくりに必要な人材は、「若者、馬鹿者、ヨソ者」

なるほど! まったくだ!

いまね、まあ何十年ぶりかで選挙戦に首つっこんでるの。
静岡県議選。4月12日投票日。
伊東選挙区では、現職(自公)が無投票で再選か、と言われていたんだけど、対抗馬が出馬した。しかも公約に浜岡原発廃炉を明言した!
感動のあまり、反原発ウンドウしている伊東の仲間たちと、勝手連つくってがんばることにしたわけ。

なぜ勝手連かというと、候補(公認会計士、ソフトなナカナカイイ男の46歳、伊東出身、前回衆院選に出て落選。政治家目指しているんだね)は一応、無所属なんだけど、衆院選では「生活の党」(!)から出て、今回もそこと「維新の会」(!!)と「民主党」(・・・)が推薦してる。
アンチ政党ワガママ有権者の私としては、ちょっとねぇ…だもんで、そうだ、勝手連としてならやれるな、と。
これでも大妥協、あはははは。
ご当人とは、反原発の勉強会でもごいっしょしたことがあるし、面接の結果、浜岡廃炉の意志は堅固と見たし、憲法第9条も守り派だし、勝手連なら「反原発」優先で宣伝できるし。
うちら主催で先月「いいんかい?原発」と題して候補紹介かねたイベントやった。今月5日には題して「雄太にかける女たちの演説会」という(正規の)立会演説会も主催した。
どちらもいい感じで、ほっ。

選挙といっても、私はせいぜいそのくらいだけど、仲間たちはすごいよ。伊東をよくしたい、暮らしをよくしたい、浜岡廃炉にしたい、の一心で、ビラ配り、ポスター貼り、ひとりで100件以上こなしてるのが、何人もいる。クチコミも熱心。
その彼ら、まさに「まちおこし3人種」に一致してるんだわ。「若者、馬鹿者、ヨソ者」。

ただしハタチ・ミソジはほとんど見当たらないから、サコ言うところの〔若者=夢を抱く人〕の解釈だけどね。もちろん〔馬鹿者〕も〔=夢中になる人〕の解釈だけど。
そういえば、「同じアホなら踊らにゃそんそん」って阿波踊りにあったね。そのノリで選挙に首つっこむアホ=〔馬鹿者〕が結局は「まちづくり」しているのだ、と地域を体験してよくわかった。そのひとたちが「目先の欲」で踊るか、「暮らしよい地域」を目指して舞うか、で結果は決まるね。

そして、目立って多数存在するのが解釈抜きの「ヨソ者」。つまり移住民。
私がそれだし、「原子力いいんかい?@伊東」(これ私らの名前^^;)の仲間も大半はそれ。
地縁のしがらみがないので、生え抜きの地元民より自由に社会活動できる。まあ、住むのが長くなるにつれて地元民化していくわけだけど、当分は〔ヨソ者=外部評価する人〕の役割を担える。

実はヨソ者は私のアイデンティティの中核なのよ。それも二重にね。

まず、どの地域もヨソである。
クマソ圏で生まれ、ヤマト圏で幼少期を送り、首都どまんなかで成人し、今は伊豆半島人。(たはは、地域基準めちゃくちゃやな^^;)。
その結果、どこについても、ここが故郷、の実感なし。むろん伊東のように好きな場所はあるんだけれど、良くも悪くも、ココは我が地、の所属感がきわめて希薄。

もうひとつは、なんというか、常にアウトサイダーだったこと。
子役はオトナの役者世界のアウトサイダーだった。
売れっ子芸能人は学校でも市井でも常にアウトサイダーだった。
あれこれいろいろやるから、どの界でもアウトサイダーだ。例えば、歌手やっても作家やっても音楽界や文壇のインサイダーには決してならなかった。アチラからもコチラの実感からもね。
極めつけは女であること。女はずっと男社会のアウトサイダーだったし、今もそう。
結局、私はこのギョーカイ、この世界の住人だ、と思える界がひとつもない。

ってわけで、私のヨソ者は筋金入りなのだ! えっへん。
どちらのまちおこしも、どおんと、まっかせっなさ〜い!

はい、いいヨソ者でありたいです。
ヨソ者の最悪のありようは、侵略者でしょ。
これにだけはなりたくない。

地域が、男社会が、平和で女子どもへなちょこ男に暮らしよい場所になるよう、「外部評価」に磨きをかけていきたいものです。