第239回 民主主義の学者と

中山千夏(在日伊豆半島人)

なるほど〜
結局は考古学も人間(学者研究者)の姿勢というか、質というか、そういうものによって、解釈が大きく変わりうるわけですね。
ありがとう、よくわかりました。
それに、サコ先生の力の入りようから、この問題は専門家にも大きいのだ、と感じました。

シロウトはどう専門的研究とかかわるか。
これはたぶん、研究はなんのためにするのか、あるいは研究はそれ自体が目的でいいのか、という、いわばフランケンシュタイン博士(!)のお話にまでつながる大問題だったのですね。

〔世の中は、自分の専門分野以外のことだらけ。原発や地震の安全性、政治や経済、IT、国際情勢など、自分に専門知識がなくても専門家たちの言い分を聞きながら、自分で判断して生きていかなきゃいけないのだから、ここでシロウトだからと判断を放棄してはいけないのだ!〕

というサコ説にはまったく賛成です。
私が古事記に接近したのも、まさにその考えからでした。
そして、この発言は、佐古和枝という学者の質を、如実に表していると思います。
もちろん、この言をまつまでもなく、その活動を見てきた者には、とっくにわかっていたことではありますが。
私見では、学者研究者には、簡単に言って、権威主義の者と、民主主義の者がいる。そしてサコちゃんは明らかに後者だということ。

私は、学問的妥当性と同時に、学者の日頃の言動を見て、民主主義的なひとの研究を採用することにしています。
私は権威主義社会は嫌い。民主主義社会が好き。そして民主主義の学者の研究のほうが、民主主義社会の建設に益するに決っていますから。
これは、シロウトが学問研究に対する態度として、決して間違いではない。
サコせんせの力作は、そんな自信を持たせてくれるものでもありました。

ところで!
歴史と言えば、最近、ひしひしと感じることがある。
現政府は(ある自民党の政治家がポロリと漏らしたとおり)、ナチスドイツ台頭の歴史から多くを学び、実行している!と。

ナチス政権は、まともな選挙で誕生した。
小選挙区制の導入がその政権の存続に益した。
政権を握ったナチスは強引な法解釈を切り口にして、ついにあの恐るべき独裁政権を作り上げた。
それは最初にナチスに投票したひとびとにとっても、恐るべき政権だった。

これを知って、普通選挙も油断ならない、と認識したものです。
そして、世の大反対のなかで、自衛隊のイラク派遣法案を、与党が強引に成立させた時、これを思わずにはいられなかった。

そして今、安倍政権の解釈改憲のやりくちを見るにつけても、ナチスドイツ拡大の歴史を思わないではいられません。
権力側はちゃんと歴史に学んでいる。
私たちももっと学ばないと!
民主主義の学者研究者の力を借りてね。