第211回 ■おかえりなさあい!■

中山千夏(在日伊豆半島人)

いいなあ、アイルランド。
一回、行ってみたいところ。

幼時の読書体験からすると、
あそこは妖精の類がいっぱい住んでるの。
てことは、いわゆる聖書神話とは違う神話が、
古くからあって、根強く残った、ということなんでしょうね。

なんか紛争が絶えない場所、というぐらいの認識しかなかったんだけど、サコちゃんの旅行に刺激されてドロナワ調べしたところ…………

アイルランドはイギリスの最初の植民地。
大飢饉に際しての英国の収奪、結果としての人口の減少やアイルランド語の危機に耐えかねて、1919〜1922年に独立戦争が起き、イギリス連邦下の独立国となる。
しかし島の北部はイギリス領北アイルランドとされたため、これを巡って内紛やイギリスとの軋轢が耐えなかった。
下って1998年、アイルランド共和国は、北アイルランドの領有権を国民投票で放棄。英国との和平合意が成立。
しかし、それをよしとしないアイルランド人勢力もいまだ絶えておらず…というところで、アイルランドへ行く、と聞くと、「治安、だいじょうぶ?」と心配するひとがいるんだね。
無事でよかった!

それにしても驚いたなあ、ブルー・ナ・ボーニャ遺跡群とニューグレンジ!
写真で見る限り、日本の古墳時代の円墳とそっくりじゃない? サコちゃんも言ってるように、内部の作りも似ているようだし。渦巻き模様だってね!

今、世界の都会はみんなよく似ているよね。
これは、情報の伝達と人の移動が盛んだから、デザインや技術がよく伝播するのだ、と目に見えているので、不思議には思わない。
でも、アイルランドの古墳と日本の古墳となると、時代と場所とがあまりに離れているので、なんだか奇跡のように見える。

この類似は、人間の根源にあるデザインの好みが、共通しているせいなのかしらね?
それとも、今では一瞬にして移動する情報や人が、長い長い時間をかけたくさんの世代と広大な海陸を越えて、アイルランドから日本に伝わったのかしらね?

ううむ、いつも思うんだ。
世界、とは言わない、せめて人間の始まりからの映像があったらなあって。
早回しで見てみたいのよ。