第209回 ■スミレの花咲く頃■

中山千夏(在日伊豆半島人)

ね、このスミレ、見て。

真っ白! 実物、きれいだったよ。
ここいらでは珍しいのよ。
このへんのは薄い紫で、こういうの。

スミレの仲間うちで、日本では最も繁栄している種類。スミレの代表。だけど。正式和名はタチツボスミレというのね。スミレという名前はほかのに譲っている。
どんなにありふれていても、愛らしさは減らない。
これが咲くと、あ、春だ!って嬉しいなあ。
もっと濃い紫や薄い桃色や、白いのもある。

でも、さっきの白いのは、葉っぱのカタチがぜんぜん違うでしょ。丸くなくて長い。
正式和名スミレの葉っぱに似ている。。
調べたら、どうもアリアケスミレという種類らしい。やっぱりシロスミレというのに比べると、ありふれているらしい。
いくらありふれていても、いいものはいい。


ウメ 修善寺の梅園

町の路傍に、コンクリートを割って咲いているのに出会った時は、なんともいえず嬉しかった。
最近、ひどく体がなまってしまったもので、時々、気合入れて歩くようにしてるのね。
この日も、歩いて下山した。途中、水力発電所の適地を物色したりしながら。
お天気最高、いい気持ち。季節は花盛り。そうして、町に入り、商店街の裏道を通ったら、白いスミレに出会ったわけ。嬉しかったなあ。


イヌフグリ 修善寺の畦道

先月は修善寺を歩いた。
園芸種、雑草、なにもかも花盛りだった。
自然と共存している町は、ほんとにいい。
金の亡者たちに壊されないようにしなくちゃ、とつくづく思うよ。


早咲き種のサクラ 修善寺の遊歩道