第208回 正しく知ること、伝えること

佐古和枝(在日山陰人)

青木先生、いいですよね。きっと千夏さんとウマがあうと思っていました(*^。^*) お見合いがうまくいって、仲人サコも嬉しいです。

2006年、出雲神話の舞台ともいえる島根半島西部に日本最大のウインド・ファームを建設する計画に対して、地元の人達と一緒に反対運動をしました。風力発電をするとしても、歴史的に意味のある景観をだいなしにするようなことは避けてほしいと思ったから。結局、宍道湖側から見えないよう計画変更して建設されましたけど、ね。
そのときに、関東の大学の先生からマイクロ水力発電の話を聞きました。小型で設置もとりはずしも簡単で環境に優しいし、エネルギー効率は風車も太陽光も比べものにならないくらい高くて、費用は比べものにならないほど安い!それが、「ようやく実用化できるようになった」とのことで、ずっと期待していました。
でも、いまだに世間ではちっとも話題にならないし、なんでかなぁと気になっていました。それで、青木先生に聞いたら、まさに「ウエに旨味がないからだ」とのお返事でした。

民主党が政権をとり、注目を浴びた「仕分け」が一段落した頃、本当は特別会計こそ「仕分け」するべきなのだという特集をした報道番組がありました。そして、その筆頭として紹介されたのが風力発電事業でした。全国各地で風車をつくった自治体の当時の町長、議員、担当者が口を揃えて「大赤字です」「こんなはずではなかった」などと嘆きの連発。あるいは「発電は期待していません。町のシンボルです」と開き直る。やっぱりそうなんだ、と思いました。

原発事故があって、自然エネルギーの開発はいっそう切実に重要性をおび、期待も高まっています。もちろん私も原発反対、供給電力が減っても自然エネルギーでいきたいです。でも、自然エネルギーという名のつくものは何でも「善」だと簡単に飛びついたらエライことになる。ヨーロッパでは、耐用年数を越えた風車が巨大産業廃棄物となって林立し、「白いアスパラ」と呼ばれているそうです。他人事ではありません。50年先100年先に「こんなはずではなかった」と言わないように、冷静に正しく選択しなきゃいけない。そのためには、フェアな情報が必要なのに、それが市民に届かない。以前風力発電のことを調べた時、ネットもマスコミもみごとに風力発電=「善」という推進・賞賛の一辺倒で、千夏さんと同じ思いをしました。

草の根でいきましょう。安くて小さな水車1つで、高価でバカでかい風車1本分の電力が作れるんだから、こんないい話はない。青木先生がそのリクツを教えてくれて、千夏さんがそれを私たち一般人にもわかりやすい文章で書いてくれて、サコはその冊子をもって全国行脚してPRする! ってことで、次はインタープリター千夏さんの出番です。よろしくお願いしまっす。

妻木晩田遺跡からみえる風車