第134回 ■がんばれ、男の子■

佐古和枝(在日山陰人)

ふむふむ。そうですね。うちの大学も、男子より女子の方が成績がいい。それはコツコツ勉強する語学系大学だからかと思っていたのですが、さにあらず。多くの総合大学でも、最近は女子の方が優秀なんですって。東大でもそうだと聞きました。
女子学生は、たしかに優等生ぶりっこみたいな子もいるけれど、成績は別にしても、概して男子より積極的・意欲的で元気がよくて頼もしい。いまの私の仕事仲間にしても、年下なのに惚れ惚れするような仕事っぷり!と感嘆させられるのは、なぜだか女性たちです。

会社の就職試験で、「成績は女子の方がよかったのだけれど、男子が欲しいのでゲタをはかせて採用した」なんて話にはもう驚きもしませんが、いまから20年ほど前にも、ある大手新聞社のデスクが同じようなことを言っていました。ちょうど土井たか子さんが社会党の委員長になり、社会党が大躍進して、「これからは女性の時代だ!」みたいに言われた時期でした。私が考古学の仕事をし始めた頃だったので、よく覚えています。その頃からじゃないでしょうか、女子学生がメキメキ力を発揮し始めたのは。
昭和30年代生まれの私の時代は、親から「女子は大学に行く必要なし」と言われ、成績優秀なのに進学できなかった子がいますもん。私だって、大学院に行くと言ったら、「高学歴の女はヨメのもらい手がなくなる!」と言われ、勝手に進学したらプチ勘当されました(^_^;) 

大学を出て就職しても結婚しても、女性には険しい道のりっていう時代。そうなると大学は、女性が自由を謳歌する人生最後の時である。ベンキョーなんか、してるヒマはない。遊ばなきゃ!みたいに思ってしまうでしょ。あ、すみません。これは、私が大学で勉強をサボってたことの言い訳でした(^_^;)
それが、20年ほど前から、女性が学問をしたり社会で活躍することが認められる時代になって、女性でも社会で活躍できるのだって希望が見えてきた。それで、女子学生も大学で本気になって勉強しはじめた。そしたら、男子学生にひけをとらない力を発揮するようになった。女性達が遠慮なく、もてる力を存分に発揮しだしたのだと思います。だから、なにも最近になって女性の能力や才能が急に増したということではないと思うんですね。

しかし、そうは言っても就職活動等を通じて、現実社会はまだまだ女性に厳しいことを知り、女子は「男子の何倍も、頑張らねば」と、ますます逞しくなっていった。就職が決まらなくても男子ほどの悲壮感はなく、図太く前向きだったりする。ダメなら結婚という手があるからかなぁ。男子は逃げ道がないですもんね。女子の方が伸び伸びして元気だから、ますます男子は陰が薄くなり・・・あぁ、可哀そう。
その彼女達が入社後10年ほどで衰え始めるとしたら、出産・育児と仕事との両立に疲労困憊するからではないでしょうか。10年めをクリアしても、50代を越えると親の介護がのしかかり、またパワーが減速するでしょうね。妻・母・嫁・仕事人のすべてに優等生であろうなんて、無理ですよね。悪ガキになれとまでは言わないけれど(^_^;)、上手にサボる術も必要でしょう。

ただ、知人の高校の先生によると、成績のトップも女子だけど、超ワルのトップも女子になっているのだそうです。良きも悪しきも、女子が上位を占めているみたいです。こうなってくると、「草食系男子」どころか、世界中のいろんな分野の研究者が「近い将来、オスは絶滅する」と言ってた衝撃的なテレビの特集番組が思いおこされます。近い将来といっても、たしか何百万年というスパンだったから、私には関係ないけれど、メスだけの社会なんて、つまらないなぁ。頑張れ、男の子!


「天照大神」(画・中山千夏)