第107回 ■はい〜あけました!!■

中山千夏(在日伊豆半島人)

サコせんせ、みなさん、おめでとさんですっ(^o^)

といっても、日単位が区切りの私としては、年単位の区切りはいま一つ実感ないのです。毎朝「あけましておめでとう」モードだもんで。ははははは。

そう、今年はモーモーなのですね。
干支で書くと、丑。
常用漢字なら、牛。
生物学的には、ウシ。
日本語の表記は多彩だね!!

牛と言えば、古事記ではアマノヒホコの話に尽きる。もちろん佐古せんせはよくご存じだけど、牛と古代、天皇のルーツ、但馬牛のルーツ(?????)、とにかくいろいろ考えるタネがたくさんあってすごく面白のに、一般にはあまり知られていない。残念。
そこで、丑年にちなんで、千夏アレンジ版をばご紹介!!

★★★★★

昔、新羅国(朝鮮北部)に、アマのヒホコ(天之日矛)というひとがいた。国王の子だった。彼は倭国に渡来して、但馬国(兵庫県北部)の有力者の祖先になった。イクメ天皇(11代垂仁)の忠臣として有名なタジマモリや、後に神功皇后と呼ばれるオキナガタラシヒメ(14代仲哀の皇后、15代応神の母)も、ヒホコの子孫だ。
その渡来の次第はこうだった。

新羅国にアグヌマという沼がある。そのほとりに、身分の低い女がひとり、昼寝していたのだが、そのホト(陰=性器)を、太陽が虹のように輝いて、指していた。
そこへひとりの身分の低い男が通りかかって、奇怪に思い、以来、この女の様子をうかがっていた。
すると女は、その昼寝の時から妊娠して、赤い玉を生んだ。男はその玉を頼んで貰い受け、布に包んでいつも腰に着けていた。

ある日のこと、男は田作りする者たちの食べ物を、一頭の牛に載せて運んでいた。谷に入ったところで、国王の子ヒホコに出会った。するとヒホコ、「おまえ、なんで食べ物を牛に積んで谷に入る。さては牛を殺して食うつもりだな」と言って、捕らえて監獄に入れようとした。男はさかんに無実を訴えたが、聞き入れられない。そこで、腰の玉を贈って、ようやく許された。

さて、ヒホコが玉を寝床のそばに置いたところ、玉はたちまち美しい乙女になった。そこでマグハヒ(性交)して正妻に迎えた。彼女はいろいろな珍味を用意しては夫に食べさせた。ところがそれでヒホコはすっかり傲慢になってしまって、妻を罵った。すると彼女、「だいたいあたしはあんたの妻になるような女じゃない。母の国へいきます」、そう言って密かに逃げ出し、小舟に乗って渡来して、難波に留まった。

妻が逃げたと知ったヒホコは、追って難波に渡ったが、その地の渡海の神に邪魔されて、入れなかった。それで、ぐるりとまわって但馬に停泊、そのまま土地の女と結婚して住み着き、多くの有力者の祖先となったわけだった。
おしまい。