祝!100回記念 妻木晩田遺跡(3)
第102回「現在の妻木晩田遺跡と『むきばんだ応援団』の活動」

佐古和枝(在日山陰人)

マスコミで大きく報道され、世論が沸き立って保存が決まった佐賀県の吉野ケ里遺跡や青森県の三内丸山遺跡と異なり、妻木晩田遺跡はマスコミでもあまり大きく報道されなかった“無名の横綱”でした。規模が大きすぎて、全体像を把握するのに時間がかかったんです。「最初からあの規模だとわかっていたら、吉野ケ里並みの扱いをしたんですけどね」と、大手マスコミのデスクがなぐさめてくれました。だから、保存運動は、クチコミという草の根的な活動が主体でした。でも、この一人ひとりのささやかな行動が、予想外の成果を生んだのでした。

★全国のみなさん、考古学研究者、さらに韓国の考古学界からも保存要望をだしてもらうなど、多くの方々のご支援を受け、妻木晩田遺跡は破壊の危機から救われ、99年12月に国史跡に指定されました。現在、妻木晩田遺跡は史跡公園として整備され、毎年2万人余の見学者が訪れています。
ブルーのジャンパーを着たボランティアガイドが、雨の日も風の日も見学者をご案内しています。

★99年2月に、保存運動の全国展開をめざして「むきばんだ応援団」が発足しました。千夏さんも発起人の一人になってくれましたね。でも、発足してまもない4月初旬に保存が決定したので、応援団は、妻木晩田遺跡の普及・活用に取り組むことになりました。保存が決まった99年秋から、遺跡のボランティアガイド養成をめざして始めた市民講座「むきばんだやよい塾」は、今年で第9期を迎えています。この塾生が中心となり、2000年には「妻木晩田遺跡ボランティアガイドの会」が発足し、毎日(冬季を除く)遺跡で来訪者にガイド活動をおこなっています。

★むきばんだやよい塾では、保存運動でたいへんお世話になった故佐原真先生(元国立歴史民俗博物館館長)を偲んで、先生が亡くなられた7月の講座は「サハラ記念日」と称しています。今年は、遺跡が保存決定して10周年なので、保存運動中の佐原先生のビデオ上映し、塾長の金関恕先生(大阪府立弥生文化博物館館長)に改めて遺跡・博物館の大切さを語っていただきました。

★応援団は、むきばんだこども塾、むきばんだ遺跡トーク&コンサート、むきばんだ日韓交流コンサート、適宜のシンポジウムや講演会などをおこなってきましたが、いまいちばん元気がいいのは、植物観察の「むきばんだを歩く会」です。一昨年は、遺跡周辺の木に手作りで解説板を設置しました。今年は、遺跡周辺の植物マップを作成し、無料配布中です。

★今年の夏は、草木染めに挑戦!使った植物は、藍・キハダ・茜など。来春には、弥生時代の服ができあがる予定です。

 
最後に、サコの極秘写真を!

高松塚の模型です(^_^;)