第91回 ■新男権主義者なるもの■

中山千夏(在日伊豆半島人)

とつぜんだけど橋下府知事の文化傾向って、わかりやすいね。女性センター、児童館、博物館、そういうのはキライ。ってか無関心。で、くいだおれ人形とか、御堂筋電飾ぎらぎらとかは好き。20億円かかるらしいよ、電飾には。それは無駄とは思わないらしい。

ふむ、わからないでもない。私もブリキのおもちゃとか、プラスチックのみょうなフィギュアとか、そんなのになぜか惹かれるもんね。カップラーメンを無性に食べたい時もあるし。くいだおれ人形にも親近感あるんよ。小さいころ電通の仕事で、あそこのテレビCMに出たから。たまらん大阪的趣味の食堂、人形やったね、あれは。
それはともかく、だから、橋下くんが、一介のオタク青年だったら、ま、あれでもかまわないわけ。だけどさ。府知事にいただいちゃうというのは、もう、ヤケなのかねぇ、大阪府民は。

浪花から心配なニュースが続々届くなかで、大阪府立弥生文化博物館の廃止がとりあえずやめになった、存続が決まった、というサコちゃんからの知らせは、ちょっと明るいニュースでした。サコちゃんたちの努力で、韓国の高名な学者先生までが廃止に反対して、シンポジウムや反対意見書、署名提出、といった動きが沸き上がった。
きっと橋下くん、びっくりしちゃったんだよ。「えええっ、そんなに有名なもんだったのお。へええ、エライ学者がこんなに反対してるんだぁ。じゃ、残すか」。

でも、府立児童文学館は評価も高く反対署名も一番多く集まったのに閉鎖が決まったんだってね。
どうも見ていると、オンナコドモの施設は苦戦しているみたいだよ。これも橋本府知事の体質なんじゃないの。
会ったことないけど、イメージあるね。
言ってみれば、ネオ男権主義者。
そういうの最近、多いみたい、特に成功した青年と、逆に不遇で鬱屈した青年に。後者はネットで息巻いてる。
なかなか手ごわいかもよ。なにしろ、フェミニズムの時代を生き抜いてきた男権主義だからねぇ。