あんなこんなそんなおんな・・・・・昔昔のその昔 第8

■おかあさんも大変だ■

佐古和枝(在日山陰人)

命を賭けて家族のために食料を調達するおとうさんも大変だったけど、おかあさんはもっと大変でした。
いまから1万2〜3千年ほど前、旧石器時代から縄文時代(新石器時代)に移行します。その頃から地球は温暖化し、森が広がりました。森は、食料を含め、生活の宝箱です。植物を食べ物に加工するために、土器が登場します。
土器は、煮炊き用のお鍋です。日本列島の野生植物はアクをもつものが多いから、ナマでは食べられないのだけど、煮たら食べられる。それで、縄文人の主食ともいえるドングリを始め、食べられるものが急増しました。もう動物を捜し求めて移住生活しなくてもよくなって、定住生活が始まります。火を通すから衛生的にも栄養的にもいい。お鍋の出現は画期的な出来事でした。
時代とともに遺跡は増えていきます。つまり人口は確実に増えている。でも、縄文人の赤ちゃんが15歳まで生き延びる生存率は5人に2人。人口が増えるためには、2人の夫婦から3人の子供は生き残らねばなりません。ってことは、7、8人は生まなくちゃ。縄文人の平均寿命は30年といわれています。30歳までにそれだけの子供を生むとなれば、出産可能年齢からほとんど毎年妊娠・出産を続けてることになりますね。
現代の民族調査や歴史の記録によれば、出産・子育て以外に、食料採集とその調理、土器造りや機織、酒造りなど、オンナの仕事も多いのです。赤ん坊を背負いながら食料採集する女性が7,8キロの距離を歩きまわり、自分の体重の75%の重さを背負って帰ってくるという民族調査の報告もあります。あなたの体重の75%は、何十キロですか?いやまったく、お母さんは大変だ。