あんなこんなそんなおんな・・・・・昔昔のその昔 第79

■それはびっくり!!■

中山千夏(在日伊豆半島人)

そうですか〜そこまでいきますか〜
しかしサコ先生、私が「蚕を飼っているからヌリノミは女」と思った、というのは買いかぶりだぁ。私、そんな知識ありませんでしたよ、網野善彦先生に教えられるまでは。そう思ったキッカケは、ほかでもない、それこそ「名前の性別」だったのよ。

古代人名の「キ」は男性を、「ミ」は女性を表す、という説がある。イザナミ・イザナキ。ミが女性、キが男性。イザは「誘(いざな)う」だろう、と。このふたり誘い合うもんね、納得納得。ナは「の」。「手の心」(てのひら)がタナゴコロになるのと同じ。つまり「誘いの女・誘いの男」なんだね。

で、古事記では、この2名は仮名書きで、イザナミは「伊邪那美」と書くでしょ。問題のヌリノミは「奴理能美」なんだよね。意味不明。ノミは「の臣(おみ)」であろう、という説しか見当たらなかった。考えているうちに、ふと思ったわけ、あれ、ミは女かもよ、ってね。そのほうがストーリーに合うよ、って。

そして、恐れ多くも公衆の面前で網野さんに言ってみたら、「それはありうる、養蚕しているのだから、女性の可能性が高い。これまで気がつかなかった」と大賛成してくださったわけ。嬉しかったなあ。
この一件から、製糸織機産業は古くから女性が握っていた(経済的にも)という認識を持つようになった。

で、義江明子さんの説によると、ミ・キなどと性別をつけるのは、「新式」ってことになるのかな。おもしろいね。ぜひ、読んでみる!!

それにしても偏見からの脱却ってのは、奥が深い。
ここまで常識破ればいいだろう、と思っても、必ず先がある。
それだけ常識には偏見がしみこんでるってことだね。
おおっし、これからも常識ばりばり破って考えるぞお〜