あんなこんなそんなおんな・・・・・昔昔のその昔 第76回

■4000年前のカシの木■

佐古和枝(在日山陰人)

佐賀ですか。私も去年と今年で3回、遺跡ツアーの引率で行きました。佐賀の佐賀県立 佐賀城本丸歴史館は、隣接する県立博物館の窓から眺めただけ。中を見学する時間がなかったのは残念でした。佐賀人の心意気を、私も見たかったです。愉快ですね。

実はその県立博物館で、私も目が点になる事態に遭遇したのです。博物館を案内してくれた学芸員の方が「ぜひ見てもらいたいものがあるんです」と私達を庭に連れ出し、大きなカシの木の前で全員集合。なんとそのカシの木は、昭和47年に発掘調査した4000年前の縄文時代の遺跡の貯蔵穴に残っていたアラカシの実が、突如芽をだして育ったものだというのです。さらに、その博物館では、そのカシの木の実から可愛い芽をださせ、小さな鉢にいれて、200円で販売していました。
もちろん、買っちゃいましたね〜(^・^) 冷静に考えてみたら、縄文時代の木の子孫なんて、そこらじゅうに生えてるんだろうけれど、そういう経歴がハッキリしている木というのは、珍しいでしょう?4000年も命が続いていると思ったら感動しちゃうし、なんだか縄文人のお友達に出会ったような気がしてね。
 で、ベランダでせっせとお水をあげていたら、ぐんぐん大きくなって、いま50cmほどになっています。しかし、このカシの木、こんな狭いベランダで、大きく育てるわけにもいかないし、いつまでも窮屈な鉢に植えておくのも可哀想だし、どうしよう・・・と最近少し不安になってきました(^_^;)

そうだ、わが妻木晩田遺跡の森に植えてあげよう!と思ったのですが、「九州で、しかも縄文のカシの木でしょう?ここは本州で、しかも弥生の遺跡ですからね」と、担当者はそっけない。
植物の世界では、違う地方のものが混じるのはイケナイことなのだそうですね。「でも、カシの木くらい、佐賀でも鳥取でもたいして違わないんじゃないの〜? 弥生のムラにだって、縄文時代から生えてたカシはあるでしょう?」と植物音痴のサコは思うのですけどね。
ベランダでお水をあげながら、縄文カシの木の将来を案じているサコでした。