あんなこんなそんなおんな・・・・・昔昔のその昔 第55

■雀はスズメ?■

中山千夏(在日伊豆半島人)

おもしろいね〜、第一、名前がいい、モドキドキ。ドキドキする話だね〜。
でも、そうなのか〜、研究者にとってはもっとマシなことがあるわけね。ふうん。

私がずうっとブツブツ言ってるひとつは、なんでスズメがサザキなのか、というやつ。
サコちゃんはもう聞き飽きただろうけど。

16代天皇(後に「仁徳」という名を贈られる有名な天皇)の名前、『古事記』では「大雀」と書く。で、オホサザキと読む。わからん(@_@)
ほかに「雀」が出てこないのならいいんだけど、『古事記』には鳥のスズメも出てきて、それは「雀」と書いてスズメと読む。
『古事記』ができた当時は、ルビないわけだから、読み方が違うなら書き分けたんじゃないの? ましてスター天皇の名前だからね、今ならた〜いへん、スズメといっしょの漢字なんか使ったら、即、週刊新潮あたりが騒いで、仕方なく街宣右翼が安万侶さんちへ出動するという事態になるんとちゃう?
現に『日本書紀』は麗々しく「大鷦鷯」と書いて、スズメとはっきり区別してるもんね。おまけに『日本書紀』は、サザキとはミソサザイ(という小鳥)のことだ、とわかるエピソードまで添えて、スズメとは分別している。

16代天皇については、15代(応神)天皇記に、父が彼に仮名書きでサザキ(佐邪岐)と呼びかけるシーンがある。また彼のことを歌ったという、やはり仮名書きの歌謡にオホサザキ(意富佐邪岐)という呼びかけも出てくる。
だから16代天皇に当たる人物の名を、『古事記』が、サザキもしくはオホサザキと認定していたということはわかる。
わからないのは、その訓漢字に、なんでスズメと同じ漢字を使ったのよ〜、ということなのよ〜。仮名のままでもよかったじゃん、初代なんかはイハレビコ(伊波礼毘古)って、盛大に仮名書きなんだし〜。ブツブツブツ。

推定陵墓が巨大だったり評判が高かったりするわりには、『古事記』の15代・16代周辺はヘンテコなことだらけで、ブツブツのタネはつきない。研究者じゃない特権で、のびのびブツブツやってます、あはは。