あんなこんなそんなおんな・・・・・昔昔のその昔 第53回

■まんじゅうこわい■

中山千夏(在日伊豆半島人)

そうだ、女性研究者、がんばれ〜!

差別の根源には恐怖がある。わかるなあ。
もっとも、差別によって、恐怖が生じる、ということもあるみたいよね。
自分たちが相手に対してひどい差別行為をした、だからきっと復讐されるだろう、という心理から恐怖が生じる。そこでまた、攻撃は最大の防御なり、ひどい差別行為をする。
多くの人種差別の根底には、そういう恐怖があるみたい。
恐怖と差別の連鎖。差別が先か恐怖が先か?

これを断ち切るには、大元の差別行為を、差別したがわが一回、きちんと総括、反省して、差別されたがわに正式に謝罪する、差別されたがわは謝罪を受け入れて水に流す、という儀式が必要だと思う。
だから、日本人は朝鮮人や中国人への弾圧をきちんと総括、反省して、正式に謝罪する必要がある。同じことが、アメリカ人とアメリカインディアンなどについても言える。被差別部落問題も同じだ。

ところが、行政はたいてい、総括、反省、謝罪をきちんとしないで、被差別がわの反抗を、カネや特権を与えることで抑え込みしのごうとする。そこに、被差別集団の権力者と、行政との間の汚職が生じる。
最近も事件があったよね。そういうことがあると、どっともどっち、という論調がおこるけれども、違うよ、やっばり悪さに程度の違いがあるんとちゃうか。より悪いのは、差別をきちんと総括、反省、謝罪しないで、飴しゃぶらせてその場しのぎしてきたがわだよ。

なんて話してたら、うははは、落語、思い出しちゃった。「饅頭怖い」ってやつ。怖いもの出してやる、といわれて、饅頭と言う、あれね。もちろんウソで、ほんとは好物。相手が本気にして饅頭出すと、怖い怖いと言いながら食べちゃう。で、オチは、ほんとはなにが怖いんだ、と迫られて、「お茶が怖い」。

男の女恐怖には、饅頭怖い的側面があるでしょ。落語とはちょっとニュアンス違うけど、怖いから蔑視したり弾圧したりしてみるんだけれど、好きなのよね。てか、女なしでは生まれることもできないし、多くは日常生活もままならないから、いくら怖くても根だやしにするわけにはいかないのよね。
だから飴しゃぶらせてその場しのぎする程度もなまなかではなくなるわけ。

もう飴いらん。子どもじゃあるまいし。
わしゃ、酒が怖い。