あんなこんなそんなおんな・・・・・昔昔のその昔 第33

■大和稲刈歌■

中山千夏(在日伊豆半島人)

お歌シリーズだ〜

遺跡をテーマに作った詞が、もうひとつあった。作ったのは1972年ごろかな。これは佐藤允彦さんの作曲で、レコードにはなったが、生ではほとんど歌っていない。

2005年 10月30日、狭山事件の再審を求める集会が、初めて地元の狭山市であった。冤罪を受けたご本人、石川一雄さんも出席。市長も挨拶に出てくるという、人数も内容も大々的な集会だった。
世話人の鎌田慧さんから、短いスピーチを頼まれていたのだが、「今までと違う集会にしたいの。歌ってよ」とも言われていた。鎌田さん、組員だし、多岐にわたる熱心な社会活動には大恩を感じてもいる。しかし、集会が集会だから、「コーラ国家!」じゃ浮くよなあ、と頭を絞って、久々に思い出したのが、この歌だった。
アカベラで歌った。鎌田さんほか、何人もの参加者が感動したと言ってくれたので、これから機会があったら歌おうと思っている。組員の音楽隊、パギやんこと趙博に、太鼓の伴奏を頼んである。

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『大和稲刈り唄』

たたなづく山々 清き流れ
黄金色なる稲穂 与えたまいし神々
稲刈り唄ひとつ 捧げまつらん

今年息子は稲刈れませぬ
尊いお墓を造るとて いやおうもなく連れ去られ 辛い使役のその果てに 汗に滑って大石の下敷き
息子の侘しい亡骸は ほんに小さい穴の中
息子が造りし墓見れば 山とみまごう大がかり

息子があの世に旅立つときは
なんにもなしの丸裸 尊い墓の主様は 鏡勾玉光る剣 積んで立派なお船でまいるとや
息子が造りし石の船 息子が運びし石の船
息子を潰せし石の船 息子を殺せし石の船

わたし今年も稲刈りまする
荒ぶる神の雷が 驕るかの墓打ち据えて
世を糺日の来んものと 信じ夢見てひたすら稲を刈る
百年それとも二百年 千年あるいは二千年
いつまで待てば終わるやら 悲しき唄の絶えるやら