あんなこんなそんなおんな・・・・・昔昔のその昔 第24

■オンナと食べ物余話■

佐古和枝(在日山陰人)

人類が二本足で歩き始めた頃、お父さんが妻と子供のために食べ物を探してもち帰るのは、性交相手を確保するためではなかろうか・・・という前回の千夏説は、サコも初回の話で書きました。なにかの本で読んだのですが、いちばん納得しやすい説明だったから。「これが正しいのだ!」と証明することは、考古学はもとより生物学や文化人類学でも難しいだろうけれど、どうせ証明できないからといって、考えることまで止めてしまってはツマラナイ。大学で、「なぜ人類は二歩足で歩きたかったのか」って話をすると、多くの学生が「そんなこと、考えたこと、なかった」といいます。で、考えてみると、おもしろい。けっこうウケる話の一つです。
千夏さんの食べ物とオンナの話はまだ途中だから、今回サコはおとなしく拝聴していたいと思うのですが、それにつけても思うのは、やはりオンナの「生む性」です。
土器の話で書きましたが、妊娠・出産のしくみが科学的に認識されていない社会では、女性の「生む」力は、おそらく男性にとっては超摩訶不思議なパワーなんですね。それが人間だけではなくあらゆる生命の生育や繁栄をもたらすと信じられていた。
人類に初めて食べ物をもたらしたのは女性であるとか、女性の死体から食べ物になる植物が生えてきたいう伝承や信仰は、世界のあちこちにあります。日本でも、千夏さんが得意の『古事記』の神話で、スサノヲに自分の体のあらゆる穴から食べ物をだして提供したオオゲツヒメの死体から穀物が生えて、それを母親であるカミムスヒが種にした、という話がありますね。穀物の種を生んだのも、その種を育んだのも女性なのです。
女性は命の源。命を育てる食べ物も、女性の世界。まさに「おんな組いのち」・・・