あんなこんなそんなおんな・・・・・昔昔のその昔 第17

■タマゴといえば■

中山千夏(在日伊豆半島人)

佐古センセ、ありがとございました〜。よくわかりました。

ところで、タマゴといえば、古語ではコがたまごのことだそうだ。『古事記』の仁徳記に出てくる歌謡に「かりこむ」「かりはこむらし」というフレーズがあるんだけど、「かり」は「雁」、「こむ」は「こ生む」と解されている。
今は鳥や魚が卵を生むことを「子を生む」とはあまり言わない。卵生については「卵を生む」、胎生については「子を生む」と言い分けている。でも古代では、どちらもコだったようだ。
そういえば「鳥の子紙」と呼ばれる和紙がある。鳥の子と聞くと、現代人は雛鳥を思い浮かべるが、あれは鶏卵の殻の色をしているから「鳥の子紙」なのだった。
タマゴも昔はシンプルにコだった。いつしかタマがくっついた。幼い生き物は、人も動物もなんでもコだったが、そのなかでつるりとした球形のものが、タマゴと呼ばれるようよなったのだろう。玉みたいな子、すなわちタマゴなのだ。

ところが古語辞典によると、玉のタマは魂のタマと根が同じだとういう。びっくりだ。「人間を見守り助ける働きを持つ精霊の憑代(よりしろ)となる、まるい石などの物体が原義」とある。まるいからタマなのではなく、精霊がこもり、その結果として美しい球形になっている、そのような物体がタマなのだ。
だとするとタマゴのタマも、形だけのことではないかもしれない。同じように「タマのように美しい」という言い回しも、形だけのことではないのかもしれない。古代人の感覚は奥が深い!